キリマンジャロ

キリマンジャロ登山への道 ①基礎知識編

みなさんは、海外で登山をしたことはありますか?

もしかすると、「海外登山」と聞くだけでハードルが高く感じる人もいるのではないでしょうか?

日本の山も大して登ってないのに海外なんて…と思ってるとしたらもったいないです。

海外の山だからといって、必ずしも難易度が高いとは限りません。

 

今回紹介するのは、アフリカ最高峰・キリマンジャロ標高5,895 mの高峰です。

ほぼ6000 m級ですので、確かに高山病には苦しめられます。

しかし、登山道はかなり整備されていて歩きやすく、赤道付近にあるので雪もほとんどありません。セブンサミッツ(7大陸最高峰)の中でも難易度の低いほうです。

イモトアヤコさんも2009年に登っていましたね。テレビは見ていませんが(笑)

 

2018年2月、僕はキリマンジャロ登山に挑戦しました。実際には最高点ではなく、手前の仮ピークでダウンし、引き返してきました(笑)

その経験をもとに、キリマンジャロ登山の基礎知識から登山準備の仕方、行程などを詳しくお話しします。

 

キリマンジャロってどんな山?

まずはキリマンジャロの概要を紹介します。

 

アフリカ大陸最高峰

セブンサミッツ(7大陸最高峰)のうちのひとつ、アフリカ大陸の最高峰で標高が5,895mです。独立峰(富士山のように山脈に属さない山)に限ると、標高は世界一です。

セブンサミッツは以下の7つ。

大陸(大州)山名標高(m)場所補足
アジアエベレスト8,848中国・ネパール 
ヨーロッパエルブルス山5,642ロシアモンブラン(4,810 m、フランス・イタリア)とする場合もある
北アメリカデナリ6,194アメリカ合衆国 
南アメリカアコンカグア6,959アルゼンチン 
アフリカキリマンジャロ5,895タンザニア 
オーストラリアコジオスコ2,228オーストラリアオセアニアだとプンチャンク・ジャヤ(4,884 m、インドネシア・ニューギニア島)
南極ヴィンソン・マシフ4,892南極半島の付け根 

キリマンジャロは東アフリカのタンザニアにあって、赤道より少し南(南緯3度付近)に位置します。

東西に約50 km、南北に約30 kmの大きな山体で、西からシラ峰・キボ峰・マウェンジ峰という3つの火山からできています。最高点(ウフル・ピーク、Uhuru Peak)はキボ峰にあります。

頂上付近には氷河があります。この氷河が近いうちに消えると言われているので、氷河を見るなら今がチャンスといえます。

 

比較的簡単に挑戦できる山

キリマンジャロの登山道はよく整備されていて、ピークに至る残り標高約1000 mを除けばそんなに傾斜もきつくなく、難しい岩場もありません。

赤道付近にあるので、頂上付近でも雪は少なく、アイゼン・ピッケルなどの道具を使った雪山登山技術も必要ありません。

そのため、登山技術の点では心配がなく、挑戦のハードルが低い山だといえるでしょう。

 

問題は高山病です。

標高が6,000 m近くもあるため、空気が薄くなります。高山病にかかることはまず避けられません。

しかし、対策によって症状を抑えることはできると考えられます。高山病への戦いを制することが、キリマンジャロ登山を制することにつながると考えていいと思います。記事では、高山病対策についても書いていきます。

 

キリマンジャロは「誰でも挑戦はできる、しかし誰でも登れる山ではない」と聞きましたが、その通りだと思います。

 

キリマンジャロ登山の基礎知識

 

ガイド同行が必要

キリマンジャロ登山では、ガイドをつけることが義務付けられています。おそらく、国立公園保護(一帯をキリマンジャロ国立公園といいます)のためでしょう。

実際は、ガイド・コック・ポーター(荷物持ち)を同行したツアーに参加するのがふつうです。ポーターを伴った登山というのは、海外登山ではよく聞きますが、キリマンジャロについては、ポーターを伴わないとふつうの人では登山はほぼ無理だと思います。高山病によって体力がどんどん奪われていきますので、重い荷物を背負った登山はとても苦しいです。

ツアーでは1人につき、2〜3人のポーターがつきます。

 

日本のツアーか?現地のツアーか?

キリマンジャロ登山に挑戦しよう、と決めたらまず始めるのが、航空券予約と登山ツアー予約です。

ツアーは大きく分けて、日本の旅行会社が手配するツアーと、現地のツアー会社のツアー(現地交流)の2通りがあります。

日本の旅行会社のツアーは料金が高く、航空券も含めて50〜60万円はかかってしまいます。英語に不安のある人には日本のツアーは助かるでしょうが、ツアー代金のハードルは高いでしょう。

現地のツアー会社と連絡を取ってツアーを申し込み、航空券は自分で手配すれば、航空券を含んだ総費用は30〜40万円程度に抑えられます

僕は、「地球の歩き方 東アフリカ」に載っていた「Kilimanjaro Kizimba Expeditions」というツアー会社にウェブサイトから連絡を取り、その後メールのやり取りを経て申し込みました。日本人スタッフがいるので、日本語でツアー内容の交渉も可能です。

 

ルート

キリマンジャロ登山には多くのルートがありますが、最も有名なのがマラングルート(別名:コカ・コーラルート)、その次がマチャメルート(別名:ウィスキールート)です。

マラングルートは、山小屋泊ができる唯一のルート(他のルートはテント泊)で、日数は4泊5日が一般的(高度順応のため1日追加する場合もあり)です。山小屋泊といっても布団はなく、寝袋を持ち込んで寝るシステムです。

マチャメルートは、テント泊で登るルートです。日数は5泊6日が一般的です。

マラングルートのほうが難易度はやさしいようです。

以下に行程を載せます。マラングルートは現地で買った地図、マチャメルートは登山中にあった看板を主に参考にしています。

マラングルートの行程一覧

DAY行程(カッコ内は標高)道のり標準タイム
1Marangu gate (1,847m)~Mandara hut (2,709m) 12 km5h
2~Horombo hut (3,726m)15 km5h
3~Kibo hut (4,708m)15 km5h 45min
4~Gillman’s point (5,703m)~Uhuru peak (5,895m)~Kibo hut~Horombo hut27 km13.5~14.5h
5~Mandara hut~Marangu gate27 km7h

マチャメルートの行程一覧

DAY行程(カッコ内は標高)道のり標準タイム
1Machame gate (1,800m)~Machame camp (2,835m)11 km5h
2~Shira camp (3,837m)5 km6h
3~Lava tower camp (4,637m)~Baranco camp (3,976m)10 km6h
4~Karanga camp (3,995m)~Barafu camp (4,673m)9 km8h
5~Stella point (5,756 m)~Uhuru peak (5,895m)~Barafu camp~High camp (3,950m)~Mweka camp (3,100m)17 km14~15h
6~Mweka gate(1,641m)10 km4~5h

1日約1,000 mずつ標高を上げていくイメージです。

マラングルートの場合、アタック日前日までの行程はゆるやかで、アタック日が急になります。3泊4日の縦走のあと富士山5合目からの夜間登山のイメージだと聞いたことがあります。

マラングルート・マチャメルートいずれにしても、山頂アタック日(表の太字の日)の行程が非常に長くきついです。深夜に出発し山頂を往復したあと、さらに下ります

まとめ

・キリマンジャロは誰でも挑戦はできるけど、高山病との戦いのため誰でも登頂できる山ではない。

・現地ツアー会社と交渉し、ツアーに参加するのが費用が抑えられてオススメ。

・マラングルートとマチャメルートが2大有名ルート、いずれも山頂アタック日の行程がとても長くてきつい。

今後は、キリマンジャロ登山に必要あるいはオススメの持ち物、実際の登山の記録、拠点の町モシでの過ごし方などさまざまな情報をお伝えしていきます。